「石見銀山の魅力をさらに伝えるために・・・」

演習に参加した学生が提案した,石見銀山の魅力を来訪者にさらに伝えていくための方法についてのアイデアを紹介します。


1、石見銀山の魅力を伝えるために

提案者:張雯

 

 今回の演習で石見銀山の町並み地区と銀山地区をよく歩き回って、この範囲の観光開発は予想以上いいと思って、楽しい体験をした。石見銀山の魅力をもっと伝えるために、私は三つの点について考えました。

 

 一つ目は細かいところをもっと工夫をする必要があると考える。例えば、展望台をもっと注目すべきだと思う。石見銀山における伝統的な建築群を歩いて見ることは楽しめるが、上からその景色を撮る写真はよく広報写真としてみんなに見てもらうので、展望台からの景色は白川郷の展望台と同じ必要だと思う。そして、展望台で三瓶山と山吹城跡も見えて、ちょうど三つの方向には違う風景がある絶好の場所だと思う。しかし、先生と一緒に行った時、説明板もう見えなくなっちゃって、高い木が邪魔になったので、建築群もはっきり見えなくなっちゃった。観光客が少ない時期でも、ちゃんと整備していないと、もしここに来た人がいたら、石見銀山に対するイメージが悪くなる恐れがあると思う。世界遺産センターから展望台まで500メートルしかないので、世界遺産センターで見てから展望台に行くというルートを観光客にもっと紹介して誘導したらいいと考える。

 

 二つ目は見銀山の魅力を伝えるために、広報も大事なことだと思う。石見銀山のガイドさんから聞いて、外国人観光客の中で、人数が前三位になったのは台湾、アメリカと中国である。観光局のデータによると、2014年から、韓国、中国、台湾の観光客数はいつも前三位なって、特に、中国の観光客は著しく増えてきた。しかし、中国のウェブサイトで検索したら、石見銀山についての観光情報が少ない。ですから、中国、韓国向けの広報を増やしたら、いい効果が出てくるはずだと思う。例えば、現在、世界中で旅行をして、旅行日記やビデオをネットに投稿する旅行専門家みたいな人が多くなってきた。特に、そんなに人気が高くないところを発見し、その魅力をみんなに教える旅行者もたくさんいる。こういう人たちはどう撮影するか、何の内容を入れるか若者の興味を起こしやすいとよくわかっている。これらの人を石見銀山に招待してきて、みんなは旅行体験を記録して、後はネットに載せればお年寄りだけでなく、多くの若者が見えるようになるはずだと思う。

 

 

 三つ目は二階の観光船を用意し、観光客は二階に座って、沖泊に近づいたら、広報写真みたいで上から村の全体が見えるようにしてほしい。少しとどまって、解説をして、上陸しないまま次の鞆ヶ浦に行って、同じように解説をするが上陸をしない。船観光をしたい原因が四つある。①船は港に合っているからだ。②世界遺産になっても、当地の住民が住んでいる場所なので、住民に迷惑をかけず、観光客に港の村を見てもらうからだ。③現在、港の村の建築は空き家がたくさんあって、所有権が不明なので、修理や改築工事ができなく、危険性があるからだ。④昔の人は日本を銀の山と呼んでいたのは、船で日本に来た時、仙ノ山を見たからだ。船から仙ノ山の姿を見たら、昔の人の気持ちをよくわかるようになるのではないでしょうかと考える。

 


2、石見銀山の魅力を伝えるために

提案者:姫絵淳

石見銀山の魅力を伝えるために、七つの方面を考えていました。しかし、自分の意見は石見銀山に対して不適切かもしれない、また問題が起こる可能性もあると思います。今回の演習では、色々な勉強と体験から考えを一つずつ説明していきます。違い視点から世界遺産ということをもっと深く体験しました。石見銀山に関する人々に伝えるために色々な試行錯誤を繰り返すかもしれません。しかし石見銀山が隠れる魅力も開発の必要があると思います。

 

一つ目は石見銀山の資産構成に関することを観光する前に調べる人がいるかどうか、どんな程度で調査するかどうか不明です。私の場合は演習の前に、石見銀山について勉強したが、実際には現場にいると石見銀山の資産構成は思いより豊富で、また戻ってきた、石見銀山について調べる必要があるとき、自分は知らない資産もありました。その上、石見銀山の資産構成の内容は硬い感じがするので、集中して理解することが難しいと思います。ですから、どうやって観光客に対して全面的印象的に理解できることは重要だと思います。特に、遠いところからきた人たちに石見銀山の豊富な資産を伝えると、心に満足できれば、楽しみに体験すれば、石見銀山の認知が広くなるかもしれません。

二つ目は観光客の方面です。今回の演習で観光客が少ない時期ですので、石見銀山は人気がない場所という錯覚を起こしました。また、よく年をとる観光客の姿が見えるので、石見銀山は精神的な場所だという疑問があり、たくさんの人生の経験をもらって、知識もたまったら、もっと意味深いところを体験したいという気持ちが出てくるかもしれません。ですから、目上の人たちは若者より石見銀山に興味があると思います。石見銀山に旅行すれば、石見銀山の価値を理解しやすい、また若者より楽しみに体験できる可能性があるでしょうか。外国人の来訪者について台湾人が多いというメッセージを届けた時、台湾から日本の各地に旅行する姿がよく見えるそうです。台湾と日本はよく似ているところが多いので、台湾人に対して日本が親近感を抱くかもしれません。もし日本に繰り返す旅行すれば、もっと深みに遊びたいかもしれません。この逆に、中国人は産業遺産という認知度がまだ低いので、石見銀山の魅力点がキャッチできないかもしれません。そこで色々な観光客に対して観光地を選べる時の動機は明らかにすれば、宣伝するポイントがあるかもしれません。

三つ目は石見銀山の価値について一番印象されたものは歴史の背景が深い銀鉱山遺跡です。しかし演習で石見銀山の価値がいくつかあると思います。例えば、自然風景、山の中にある古社寺、色々な城跡、お墓など面白いところがたくさんあると思います。ですから、演習で石見銀山の違い場所に調査していた時、宝探しという期待があり、よく思いより各面の情報の収穫がありました。そこで安全保障ができる上に、あちこちに誘導すれば、観光客は多種多様な価値を味わうと思います。

四つ目は石見銀山の周囲に豊かな自然を体感してくれました。森は綺麗に整備していないが、植物の種類が多くて、原始的な森と間歩を合わせて違い雰囲気を表すと思います。自然が好きな人達に対して石見銀山の自然の魅力を満喫できるかもしれません。

五つ目は民間的に政府的に間歩や坑道などがある数が多くですが、観光客は龍源寺間歩しか覚えていないかもしれません。調査したとき、ある小さい間歩に止まった時、観光客はこの間歩を通る時全然発見しませんでした。ですから、もし大きい看板があって、間歩の分布図で説明があれば、観光客は少し止まって小さい間歩の存在を確認する上でのんびり体験すれば石見銀山の魅力を会得できるかもしれません。

六つ目は石見銀山ゾーン地区に調査する時、ガイドさんと会いました。元気で説明を詳しくて、一人で500円ですが、石見銀山のことを伝えるために無料といって誘いました。石見銀山の魅力を多い人に伝えるという熱心が高い感じがします。ガイドさんたちは石見銀山をよく案内していますが、嫌な気持ちがなくてもっと多くの人に伝えたいという感覚があります。ですから、ガイドさんの熱情は石見銀山の魅力の一つだと思います。

最後は石見銀山に短時期に住みたい潜在人々の誘導について提案したいと思います。現在、生活のために人々のストレスがよくたまっています。心からの気分が変わりたいとき、誰でも会いたくない時、一人だけ静かに過ごしたい時、自分心からやり直したい時、石見銀山はいい場所だと思います。石見銀山地区は自然が豊富で、三瓶山や温泉津など風景もあり、また周囲の人たちが優しくて素直ですから、石見銀山に1015日で心をリラックスしたい時、石見銀山に泊まったら、ゆっくり了解できます。生活に戻る時石見銀山の短い旅を広く伝えるようになるかもしれません。


3.パーク&ライドの活用ー石見銀山の魅力を伝えるためにー

提案者:松井 茜

 

 現在石見銀山のある大田市では、観光政策として石見銀山の野外博物館の構想を練っている。石見銀山はその特性上、見るだけではその価値を理解する事が難しいからである。

 また観光客は数時間(二時間程度)の滞在で、石見銀山を離れてしまう事が多く、その場合石見銀山の魅力を十分に伝えきれないのが現状である。石見銀山ガイドの会では石見銀山の事がよくわかるガイドを行っているが、時間が足りないためガイドを付けずに自転車で龍源寺間歩まで行って帰って来るという人が多いという。

自転車での観光は徒歩よりもスムーズな移動が可能となるが、スピードが出る分視野も狭くなるため道中の資産を見落としてしまう事になる。以上の課題を踏まえて、私が提唱したい魅力発信方法はパーク&ライドの活用である

 パーク&ライドとは、目的地と駐車場をあえて距離がある場所に設定し、駐車場からは徒歩もしくはそれに代わる交通手段で移動するシステムである。石見銀山でもこのパーク&ライドのシステムが導入されており、石見銀山世界遺産センターと大森代官所跡を結ぶバスが運行している。

しかし、実際に石見銀山を訪れると、石見銀山公園の前の駐車場や代官所前ひろばのバス停には乗用車が停まっておりパーク&ライドが完全には機能していないと思われた。

パーク&ライドを活用する事で、一度に大森地区や銀山地区に入る人の数をコントロールする事が出来、大森住民憲章で唱えている「おだやかさと賑わい」を両立する事が出来るであろう。

 

パーク&ライドがその役割を完全には機能していない理由は、世界遺産センターと銀山地区・大森地区の見学エリアとの繋がりが薄いからなのではないかと私は考える。

 現在石見交通により運行されているバスは石見銀山世界遺産センターから大森まで200円、大森代官所跡までは240円の運賃がかかる。また大森に行くまでの間に上佐摩というバス停も経由する。

 石見銀山で行われているパークアンドライドは、まず観光客は石見銀山世界遺産センターに行った後に、路線バスを利用して大森に移動する事になる。

 私が提唱したいのは、このバス移動の時間も石見銀山の魅力を伝える時間として活用する事だ。また、野外博物館としてパークアンドライドを徹底し、現在では移動手段としてしか捉えられていないバス移動を資料の一部とする事である。

 

野外博物館におけるパークアンドライドの活用の提唱

 

まず、現在のパークアンドライドの方式では①世界遺産センター、②バス、③銀山・大森地区のそれぞれが固有の独立しているものとして存在している。(バスによって切り離されているとも考えられる)。そのため、野外博物館の構想においては、それら三つを統合して考えていく。

そして、徹底したいのがパークアンドライドである。私の構想では、銀山・大森地区に入る観光客はツアー客であってもまず世界遺産センターに行く事を強制したい。これは、野外博物館である石見銀山をバス移動ありきの物にするためである。

そしてバスも、路線バスではなく世界遺産見学専用のバスを導入する。これは、バスを野外博物館の一部として取り入れるのに必要な事である。

世界遺産センターに到着した観光客はまず、銀山・大森地区に向かうためのバスのチケットを手に入れる。そこでバスの出発時間を知り、時間に余裕がある場合は世界遺産センターを見学し、ない場合はそのままバスに乗車する。

 この構想で積極的に活用していくのが、バスとガイドである。バスに乗車した観光客はその道中ガイドによる説明を聞いてこれから始まる銀山・大森地区の見学に想いを馳せる。またパークアンドライドが石見銀山観光で必須なように、ガイドツアーもこの構想では必須とする。観光客はバス乗車前に見学したい地区を決め、それに合わせたバスに乗る。ガイドツアーがバス乗車中から行われる仕組みである。またこのパークアンドライドの方法のいいところは、バス乗車から遺産見学までが一貫されている事から終了の時間が読めるという事である。あらかじめおおよそかかる時間がわかるため観光客もその時間を確保して石見銀山を訪れる事が出来るであろう。

 しかし、ガイドを必須としてプログラムに取り組むのであれば、ガイドの仕事の負担が現状より増えるためガイドの数の確保と人件費を見学料で賄えるような仕組み作りが課題となってくるであろう。

 パーク&ライドとガイドの活用をする事により、観光客に石見銀山についての知識を持ってもらう事が出来、石見銀山の魅力を知ってもらう事が出来る。また、世界遺産センター・大森地区間のバスの発着時間を管理する事で、観光にかかる時間が把握できるようになり観光客の時間不足も解消する事ができるであろう。

 ガイドやバスの仕組みを変えるなど、現状変更しなくてはならない部分も多くあるがそれらは実用される時に再度検討していきたい。また、私がこの構想を考え付いたのはニュージーランドにあるホビット村という映画のセットを保存している施設を訪れた経験からである。その施設では、駐車場と見学スペースが車で20分くらい離れた場所にあり、観光客は全てそこからバスで移動する。バスの中では、ホビット村に関する映像が流され20分というバス乗車の時間も気にならなかった。そして、同時に私はホビットの映画を観た事が無かったが、映画や施設の事が(見学スペースでのガイドにもより)よくわかり、楽しむ事が出来たのだ。

 この経験を踏まえ、すでにパークアンドライドとガイドツアーが導入されている石見銀山で現地の魅力を伝えるためには、パークアンドライドとガイドによる二つの柱の確立が必要なのではないかと考える。


4.ロールプレイングゲーム ー石見銀山の魅力を伝えるためにー

提案者:譚 皓

 四日間の見学調査を通して、石見銀山と大森町並みの現状が少し把握できてきた。この地区が持っている条件を踏まえて、石見銀山の魅力を伝えるための提案を考えた。全体的に見ると、鉱山と山麓に位置する町並みは大体整備済みの状態である。山の中に残った間歩という坑道の跡がいくつか観光スポットとして開放された。町並みにも数多くの建造物の外観も内部も修理、修景事業が行われている。

 

 

 

全体的に見ると、鉱山と山麓に位置する町並みは大体整備済みの状態である。山の中に残った間歩という坑道の跡がいくつか観光スポットとして開放された。町並みにも数多くの建造物の外観も内部も修理、修景事業が行われている。

 

 

 

観光開発のため、石見銀山世界遺産センターという博物館を開設し、丁銀づくり体験など観光客向けのイベントも行っている。重要文化財、伝統的建造物も修理、活用して公開されている。「石見銀山ガイド会」が開催するガイドツアーは主な観光活動である。

しかし、このサイトはまだ「わかりにくい世界遺産」と呼ばれている。確かに鉱山の作業は現代人の生活とはあまり関係がない。専門用語が多い説明などは解説板に詳しく書いても理解にくいと思う。ガイドに連れていて説明しないと、観光のルートに観光客自分で歩きながら発見できる世界遺産としての「価値」がすごく限る。

 

 

 

石見銀山を「野外博物館」とみなす構想に基づいて、石見銀山の魅力と価値を伝えるために有効な手段を考えていた。一般的な博物館は、まず専用の場所をデザインされ、展示品をまとめて入られ、色々な方法で解説する施設である。

 

それと比べて、野外博物館はどのような特徴を持っているかと考えれば、野外というところである。すなわち、既に存在している場所で、展示が行うことである。石見銀山の場合は、この地域の鉱山、町並みの中で、昔発生した銀の発掘、生産、運送などの物語を述べることである。もう一つ、ここはずっと人が住んでいる場所である。住民たちの活動も歴史の重要な一環である。さらに、観光客もこのサイトにいれば、環境の一部になる。そうすると、「ひと」も展示の一部になれるかを考えていた。

この考えの上で、「ロールプレイングゲーム」というイベントを行う可能性があると思う。ロールプレイングゲームとは、参加者が各自に割り当てられたキャラクターを操作し、特定な物語の背景で目的の達成を目指すゲームである。すなわち、背景(background)、人物(character)、任務(mission)の枠組みである。

 

 

 

 

石見銀山と大森町並みの普段は左側の図のように観光スポット、観光情報センター、お店、宿泊施設などがある一般的な観光地である。

 

 

 

「ロールプレイングゲーム」イベントが開催するとき、このサイトにおける建造物はそれぞれ原来の機能に戻る。

 

 

 

住民と観光客一緒に前の銀山が運営していた時のキャラクターを演じて、当時の銀産業の流れ、町並みの生活、管理者の仕事などを再現する。

 

 

 

例えば、朝に起きてから、外の町は200年前の様子になった。人々もその時の格好を着て、鉱山町の生活と仕事をやっている。観光客も当然、事前に「今日1日中あなたは地役人として銀の貿易に関する仕事をやってください」のような任務をもらえて、働いていく。

このイベントはこのようなイメージである。

 このイベントを開催したら、観光客に対して全体的な銀産業を体験できていく。ガイドの説明を聞くことより、自分自身でやったことは強い印象がもらえて、その中の価値が理解やすいである。石見銀山遺跡と町並みも最大限に活用できるというメリットがある。

 しかし、このゲームを実現したいと、難しさもある。まずは鉱山の中での作業を体験したいなら、安全性を考えなければならない。そして、歴史再現の前提の一つは、できるだけ多くの民家を公開し、住民全員参加したほうがいい。もう一つは環境の収容力である。どのぐらい人数の観光客が同時に活動できるかも検討すべきである。


5.石見銀山の魅力を伝えるために――温泉津沖泊道と沖泊地区を例として

提案者:李雪瑩

石見銀山は戦国時代後期から江戸時代前期にかけて最盛期を迎えた日本最大の銀山である。1526年に九州博多の豪商神屋寿禎によって発見されて以来、1923年の休山まで約400年にわたって採掘されてきた、日本を代表する鉱山遺跡である。2007年に世界遺産になって、アジア初の世界遺産リストに登録された鉱山遺跡である。石見銀山遺跡とその文化的景観は「銀鉱山跡と鉱山街」、「街道」、「港と港街」の3つの分野にわたる14の構成資産からなる。

 石見銀山は世界遺産として日本でも有名で、世界的にも知名度があり、多くの観光客を集めている。石見銀山ガイドの会の安立会長によると、近年の石見銀山の観光客数は毎年30万人以上で、そのうちの約三分の一が間歩に入って見学している。同時に、演習中の体験によると、石見銀山への観光客は、主に大森地区、銀山柵内、温泉津に集中している。その他の構成資産がある地区の観光客が比較的少ないもともと銀を運ぶために使われていた道路は、修理や改修がないため観光客に公開しない。大森地区の面積は約162.7ヘクタールで、ガイドについていけば、半日で見学を終わることができる。温泉津の面積は約36.6ヘクタールで、温泉に入ったり、食事をしたりする時間を入れると、見学に半日ほどかかる。

 

 銀山地区と温泉津は近いが、交通は不便だ。両地を直接結ぶ道路はなく、徒歩でも車でも迂回する必要がある。過去に銀を運んでいた道路を利用して両地をつなげることができれば、観光客はより良い体験を得られるようになり、周辺地域の観光業を発展させる可能性もある。

 石見銀山の外港であった温泉津・沖泊と柵内を結ぶ街道は温泉津沖泊道と呼ばれる。長さは12kmで、17世紀初頭に尾道が開発された以降も銀山と港を繋ぐ幹線路であった。その中の沖泊は、主に16世紀後半の約40年間、銀の輸送や、石見銀山への物資補給、軍事基地として機能した港である。温泉津と一体となって歴史を重ねた場所であり、集落は往時の土地利用を今に引き継いでいる。現在、町全体で28棟の建物があり、うち12棟は近代から残っている。同時に、沖泊は人口減少と高齢化の問題に直面している。町の人口は7人で,すべて65歳以上の高齢者であり,空家率は68%であった。このままだと、今後この町がなくなる可能性が高い。銀山の街道を活用し、銀山ゾーンや大森地区の観光客をここに誘導すれば、この問題を解決できるかもしれない。

温泉津沖泊道の全長は12㎞で、歩くのに約3時間かかる。北側の鞆ケ浦道付近には既に道路が整備されており、温泉津沖泊道は遊歩道として活用されることができると思う。日本には多くの自然遊歩道があり、世界遺産の範囲内にある遊歩道もある。たとえば紀伊半島に位置し、三重県、奈良県、和歌山県、大阪府に跨るの熊野古道は、現在も一部が遊歩道として利用されている。白神山地にもブナ林散策道があり、その道で白神山地の自然環境・ブナ林を手軽に体感できる。それで、温泉津沖泊道も銀山の歴史文化を学ぶ遊歩道として利用できると考えられる。観光客は、銀山町や銀山柵内だけでなく、ユニークな銀山の街道を体験することができる。同時に、沖泊は遊歩道の観光客の休憩所として利用できると思う。町の古い民家を活用して、観光客に休憩や食事、おみやげを買うなどの場所を提供することができる。沖泊はかつて銀山の重要な港であった、現在は銀山採掘の停止で本来の機能を失っていたが、港は完全に保存されていた。この港を利用して、沖泊と温泉津の間を船で行き来させることができれば、観光客にとって便利だ。船で海上の日没を見るのも魅力的だと思う。

一方、街道と町を活用際にも何らかの問題があるかもしれない。いくつかの家の所有者はもはや見つかりにくい、現存する住民も現在の静かな生活を維持しようとしているために町の活用に同意していない可能性がある。観光事業を始めるためには、スタッフが必要となり、人員不足になる恐れがある。銀山の森にはイノシシなどの野生働物がいて、観光客にとっては危険があるかもしれない。また町や街道の改造には大量な資金が必要かもしれないし、投資先を見つけることも非常に重要なことだと思う。温泉津沖泊道と沖泊は世界遺産の一部として石見銀山の顕著な普遍的価値を構成しており、保護・活用の過程で若干の困難に見舞われるが、保護する価値はあると思う。